以前のエントリでは、CALL of DUTY MW2 の表現規制について書きました。今回は、CoD シリーズの中で始めて「Z指定」なり、シリーズの転換点にもなった「CALL of DUTY BlackOPS」について取り上げます。
冷戦下の共産主義の恐怖を描いた作品
このゲームは、ソビエトが入手した協力な毒ガス「ノヴァ6」がアメリカ中でばらまかれる寸前かもしれない…という設定で始まる、共産圏の恐怖に包まれていた東西冷戦の時代が、物語の舞台です。
科学者(非戦闘員)への拷問シーンは、ホワイトアウトして見られない
プレイヤーが操る主人公達は、CIAの秘密工作員という設定です。アメリカへの毒ガス攻撃を防ぐべく、ガス兵器開発者のクラーク博士を「尋問」するため、九龍(香港)に向かったところから、このステージは始まります。
まず、ステージが始まる前に、プレイヤーのキャラが九龍へ出向いたことと、その目的が科学者への「尋問」であることが説明されます。
任務の説明のあと、画面が真っ白になり、音と会話だけが聞こえてきます。
(金属音)
(なにかを殴ったような衝撃音)※プレイヤーのコントローラーのバイブ機能が動作し、主人公がアクションを起こしたことが示されます。
ハドソン「一日中、続けたっていいぜ。たっぷりあるしな!」
(誰かが咳き込み、何かを吐き出す音)
上司「こちらの欲しい物を提供すれば、身の安全は保証する」
クラーク博士「はぁ…わたしは既に死人だ。世界のどこに行っても追い回されている」
そして、画面に目の前には、アザと血だらけのクラーク博士が登場します。
ホワイトアウトしていたシーンは、科学者への「拷問シーン」だった
つまりこれは、主人公達CIA工作員による「拷問」シーンだったのです。実は、パソコン版では、このシーンではホワイトアウトせず、プレイヤーが実際に博士を殴ることができます。
Xbox360のコントローラーが振動するのは、主人公が博士を殴打しているときの演出ということでしょう。
ここでも、「民間人への一方的な虐待」はカットされています。このゲームはCERO-Z指定で、18歳未満は遊ぶことができませんが、それでも、日本の家庭用ゲームにおいては、プレイヤーが民間人への虐待を行うシーンは、かなり厳しく規制されていることが、見て取れます。
戦闘員と民間人の違いで、扱いが大きく異なる
先日のエントリでとりあげた「Gear of WAR」シリーズでは、重傷を負って戦闘不能になった敵に対して、様々な「処刑スタイル」によりトドメをさすことができました。チェーンソーを腹に押し込んだり、苦痛が長引くように頭への殴打や踏みつけだけを繰り返したり…。
相手が対等な立場にある戦闘員であれば、そのような虐殺を「娯楽」として描いてもOKということなのでしょう。
しかしCALL of DUTY BlackOPS が示すように、相手が非戦闘員(民間人)であれば、殴るシーンをホワイトアウトするほどまでに隠しながらも、しかし「拷問をしていた」とわかるようになっています。
実際、一般的な良識があれば、民間人への一方的な殴打は、どうしても心苦しいものです。元のパソコン版では、あえてそれをやらせる事で、Black OPS=秘密作戦 の陰惨さを描こうとしているのでしょう。
しかし、娯楽として供される「家庭用ゲーム」においてまでも、そういった描き方が必要か?と問われれば「必ずしもYESとは言えない」というのが、日本の家庭用ゲーム機市場ということなのでしょうか。
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