演劇

少年ラジオ(キャメルボックス)

(当日5500円) 
[評価:★★★★★]

借金のカタに丁稚奉公させられている弟を身請けしようと、ラジオ(主人公の名前である)は路上スリで小金を貯める毎日。そんなある日、財閥のお嬢様を偶然助けてしまった事から、少年は航空兵器産業をめぐる巨大な陰謀にまきこまれてしまい… 

いや~面白い。てゆーか楽しい。身分違いのお嬢様に抱く淡い恋、犯罪集団でもきちんと「大人の振る舞い」をしている窃盗団。一方通行の愛を押しつけてるキャデラックのあんちゃんも、「彼女が心配でたまらない」という誠実さにおいては遜色ない。子供の頃思っていた「大人ってのはこういうもんだ」という人物像が舞台に際限されている。…つまり、この演出は少年ラジオの「弟」から見た世界観なんですな。 
で、その弟さんだって、丁稚奉公の毎日にもまれて、「兄が働くレストランだって、そんなに景気がいい訳ない(=大人の世界がそんなにバラ色ではない)」と、うすうす感じ始めている。だからいきなり「身請けの金を一括返済できるほどの仕事を請けた」と言う兄に対して、それがフツーの仕事ではないことくらい、容易に想像がつく── ←このシーンの「疑念と信頼が入り交じった」演技がもう最高。

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