昨年末(2013年末)のコミケで、一般参加者の方から「さっき、そこで落として壊れたので、分解用にこのカメラをあげます」という、たいへん嬉しい申し出がありました。舞い上がってしまってお名前を聞きそびれてしまいましたが、ここでお礼申し上げます。
さて、そのカメラはSONY製の「DSC-W530」という機種なのですが、さっそく分解と赤外線写真用への改造を試みて…見事に失敗しました。今回は、失敗に至るまでの話です。
DSC-W530の分解手順
まず、左右側面と底面のネジ合計6本をすべて外します。このネジはどれも同じ種類・長さなので、まとめて取り扱ってかまいません。
次に、プラスチック製の背面カバーを外します。若干、ツメがひっかかる感触はありますが、カパっと外れます。
カバーを外したら、インタフェース基板と液晶モニタが乗っている台座を、ゆっくりと外します。この台座から、2本のフレキケーブルがメイン基板に繋がっています。細いフレキケーブルはそのまま引き抜き、幅広のケーブルはコネクタの押さえツメを跳ね上げてから引き抜きます(下写真)。
台座を取り外すと、撮影素子(CCDまたはCMOS)の基板が見えます。基板からのフレキケーブルは、黒いテープで隠されたコネクタに繋がっています。このテープはなくても構わないので、剥がしてしまって大丈夫です。おそらく、緩み防止の為に貼られているのでしょう。
ネジ×2本を抜いてCCD基板を取り外すと、プラスチックのマウンタの中にCCDとローパスフィルタがあるのが見て取れます(上写真)。赤色に見えるのが、ガラス製のローパスフィルタです。
ローパスフィルタを外そうしたら、CCD自体がもげてしまった!
赤外線写真用に改造するためには、このローパスフィルタを外す必要がありますが、これがなかなか外れません。そのうち、プラスチックのマウンタとCCDごと、もげてしまいました(下写真)。
CCDが、ハンダ付けされた基板からもげてしまっています。こうなっては戻しようがありませんので、今回の改造は失敗でした。
接着剤で固定されていた、ローパスフィルタとCCD
どうしてこうなってしまったのか…。分解すると、サイバーショットDSC-W530のCCD基板全体は、下図のような構造になっていました。
このうち、CCD素子はハンダ付けで基板に取り付けられています。プラスチックマウンタとローパスフィルタの境目を縫い針で擦ってみたら、ガラスの感触だけではなく、樹脂(接着剤)の感触が伝わってきました。
どうやら、プラスチックマウンタとローパスフィルターは、接着剤でCCD素子に取り付けられていたのです。これでは外しようがありません。
結論として、SONY サイバーショット DSC-W530 は、赤外線写真用に改造するのは、ちょっと不可能だと思いました。
この記事へのコメントはありません。