赤外線写真に、現実と虚構を同居させるのに有用な手法がカラースワップです。
以前のエントリでPhotoshopで行うカラースワップを紹介しましたところ、フリーソフトの「GIMP 2.8」でLabカラースワップする方法について質問されました。そういえば、GIMPでのやり方は同人誌にも書いていませんでした。この記事で紹介させて頂きます。
なお、Labカラースワップの技法は、写真家の澤村徹さんが出版された写真集「BLACK MORNING」で紹介されていたものです。この記事は、それをGIMPで再現したものになります。
ホワイトバランスを調整した写真を準備します

この写真は、富士フイルムの「SC66」フィルターを使用し、ホワイトバランスを木の葉に設定して撮影しました。本格的な赤外線写真は、SC70〜SC86といったものを使う事が多いのですが、こちらの方が色の変化が分かり易いので、今回はこれを題材にします。
GIMP で写真を開き、Labカラーレイヤーにして作業を行います
GIMPにはPhotoshopのようなLabカラーモードがありませんが、仮想的にLabカラー編集を行える「チャンネル分解」機能を使うことで、ほぼ似たようなカラースワップを行えます。
※GIMP 2.8 は、チャンネル分解時におけるカラースペースの取り扱いや、カラープロファイル対応により、Photoshopとまったく同じ結果(厳密な色の同一性)にはならない事がありますのでご注意下さい。ご指摘頂いた @yamma_ma さまに感謝いたします。
GIMPで写真を開いたら、「色」メニューの中にある「チャンネル分解」を選択します(下図)。
チャンネル分解のダイアログボックスで、「色モデル」を Lab に設定し、(チェックされてない場合は)「分解したチャンネルをレイヤーに展開する」にチェックを入れます。(下図)
これで「OK」を押すと、Labカラーの各色要素を、グレースケールの3層レイヤーに変換した画像が、新たなウィンドウで表示されます。画像がモノクロ画像に見えてしまいますが、正常な動作です。
こうして生成した3層レイヤーのモノクロ画像は、レイヤーパレットで見ると、各レイヤーに「L」「A」「B」と名前が付けられています。(下図)
(レイヤーバレットが表示されていない場合は、「ウィンドウ」→「ドッキング可能なダイアログ」→「レイヤー」を選択して表示できます。)

Labカラーレイヤーにして、カラースワップを行います
これからが、カラースワップの本番です。3層のレイヤーのうち、「A」と「B」のレイヤーの階調をそれぞれ反転します。
例として、まず「A」のレイヤーをパレットから選択して、「色」→「階調の反転」を実行します。(下図)実行しても、見た目には変化がありませんが、そのまま作業を続行します。

次に、パレットから「B」を選択して、同じく「階調の反転」を行います(下図)。この時点でも、画像の見た目に変化はありません。最上の「L」レイヤーの見た目がそのままだからです。

最後に、Labの各チャンネルを合成して、カラー画像に戻します
これまでの作業で「A」と「B」の階調反転を行った後、色メニューにある「色要素」→「チャンネル合成」を選択します(下図)。
合成チャンネルのダイアログウィンドウで、「色モデル」に「LAB」をセットし、「OK」をクリックします。(下図)
色モデルの下にあるリストは、3層のレイヤーをLabのそれぞれどれに適用するかを設定する箇所ですが、このブログ記事の通りに操作していれば、上から順にLabと自動的にセットされているはずですので、操作する必要は無いと思います。
これで完成!
これで、モノクロのレイヤー画像がカラー画像に復帰し、Labカラースワップした画像が新たなウィンドウに表示されます。空が青色になっているのがご覧頂けます(下図)。

以上が GIMP 2.8 におけるLabカラースワップの手順です。